コーヒー豆のカビ毒記事をたまたま見てしまった。
コーヒー豆はカビが発生しやすい食材で、市場に出回るコーヒー豆のほとんどにカビが混じっているという内容だった。
コーヒーの生豆には虫食いや割れや変色などの欠点豆が混在する。
これを焙煎前に取り除かなければならない。
これの作業をハンドピックと言います。
僕はこれまで単純に『美味しくないから』だと思っていた。
でも違うようだ、カビ毒記事を読んでそう思った。
この記事を見て僕は焙煎前の生豆から虫食い豆を探して割ってみた。すると中に空間ができていて内側には青カビが生えていた。えっマジか?
これを知らずにミルでカリカリ挽いたら全部混じってしまう。
なんだか気持ち悪いし怖い。
そこで対応策を調べてみた
「価格は高いけどこだわるならハンドピックしたスペシャルティーコーヒー」
というのがおおかたの意見のようだ。
トレーサビリティが明確で、生産者の顔が見えていることが必要。
どこの国のどの農園の誰によってどのうような方法で作られたのか。
欠点豆の少なさもスペシャリティコーヒーの基準にもなっている。
でも、それだけでは安心できないと思っている。
結局は農産物なので自分でじっくり手間をかけて選別することが重要だと僕は思う。
なぜならば...
昨年、スペシャリティーコーヒーの焙煎日本一を決める大会を見に行った。
SCAJ2018だ
そしてエントリーした全チームの焙煎した豆を2セット購入して帰った。
家に帰ってからじっくり全部のチームの豆を観察した。
すると、虫食い豆が選別できてないチームが多いことを知ってしまった。
めずらしいインド産の生豆を全チームにお配りしたと主催者の方が説明してた。
この豆に虫食いが多かったことは事実、そしてそれが十分に選別できていなかったことも事実。
まあ、人のやることなので、与えられた時間でやることが多いので何に関心を向けているかによって見える世界が変わるし、集中力が高い時間って意外と短いし見逃しは起こりえると思った方が間違いない。だから、こだわるなら自分で選別するしかないと、この時思った。
そんなことを思い出しながら ふとよぎったことがある...
そうだ!
去年の買ったあの豆が まだ確か あったような...
よくみると豆棚の端っこにあった
スペシャリティーコーヒーの豆残ってました
よかったよー 一つだけだけど
ザルに広げて確認してみた...
うんうん やはりありました。
虫食い豆が あったどー
残念なのか 嬉しいのかわからない
小さな袋の しかも残り少ない豆に
4つも虫食い豆が混じってるー
どっちかと言えば嬉しい気分
よし徹底的に調べてみよう
まずはおさらい
虫食い豆って こんな感じです
赤丸をつけたところに小さな穴があります
普通に新聞が読める視力があれば気づく大きさです
①虫食い豆をニッパーで割る
こんな感じでニッパーでパチっと
なんと青カビのようなものが見えた。どう見ても青カビだ。
かなりやばい感じ
スペシャリティーコーヒーは焙煎が浅いからなのか
焙煎しても青カビは青い
通常の焙煎なら こんなに青く見えない
スペシャリティーコーヒーの専門家が良質の酸味とか評価しているはずなのに、講釈がむなしく感じる。
②次の虫食い豆はこれ
写真で分かりにくいけど穴の内側が青カビが見えた
③さらに次の虫食い豆を割る
青カビは見えないが内側がの色がちょっと濃い
割るとき 力がいらないくらい簡単に割れた
割った瞬間特有のいい香りがなかった
④比較のために綺麗な豆を割ってみた
左側が綺麗な豆(右側は③虫食い豆)
綺麗な豆は割った瞬間にいい香りがした
中も綺麗な色
今週は東京ビックサイトでSCAJ2019が開催される。
今年もまた行きたい。
一昨年は、ルワンダ駐日大使の講演会でルワンダ産の虫食い豆のポテト臭問題について聞いた。僕はその時サンプル品を試飲させてもらったのでその香りを鮮明に覚えている。蒸かしたジャガイモに近い匂いだった。
講演では袋の中にこの虫食い豆が一粒でもあると、ポテト臭がして売り物にならないという話だった。コーヒー豆の袋って60k入るのでほんまかいな?とも感じた。
この匂いの原因は虫食い豆の穴の中に繁殖する菌の影響らしい。ルワンダ産はポテト臭がするが、他の産地の虫食い豆はこの匂いが無いという説明だった。
そのためルワンダでは何段階も目視検査を実施して虫食い豆を徹底的に排除しているので、ぜひ購入して飲んで欲しいという話だった。
結局、おいしいコーヒーを飲むには欠点豆を見つけて取り除くことが重要。自宅で飲む量なら週に400g程度なのでハンドピックも全然苦にならない。むしろ楽しみだ。
※2019/09/14 追加
ブログを見直した時に、全体の数がわからない内容だと気づいた。
どの位の割合で残っていたのかは重要だと思うので追加情報として数えてみることにした。残り133個あった。
ここでちょっと驚いた
残り全部を皿にのせて写真を撮影、モニターで拡大して見てみると。
新たな虫食い豆を偶然発見してしまった。
写真の赤丸を付けた2個
5個目の虫食い豆をニッパーで割ってみることにした。
5個目の虫食い豆にも青カビがあった。
6個目の虫食い豆を割ってみる。
6個目の虫食い豆にも青カビがあった。
ここで、このチームの欠点豆の比率を出してみた。
豆の総数 140個
虫食い豆 6個(4.3%)
欠点豆総数 9個(6.4%)(割れ豆+3個)
たまたまかも知れないが、冒頭の「市場に出回るコーヒー豆のほとんどにカビが混じっている」という記事の内容を裏付ける結果になった。
今回の調査で僕の追及するべきコーヒーの作り方が見えてきた気がしてワクワクしてきた。
なぜなら、少々カビが混じろうが世界トップレベルの人でも気づかないってわかったから。高得点を付けていたから。
コーヒーの欠点豆の除去作業は僕でも時間をかければ世界トップレベルになれそうだ。
僕はこれからクリアなコーヒーを淹れることに集中していきたい。欠点豆の除去はその中の一部、他にもやることがたくさんありそうだ。